清水敏の弁理士日記

知的財産関係のニュースと、実務的心覚えとをつづる。実務的情報については、できるだけ元情報の所在を記載する。
脳が壊れた
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    といっても私の脳が壊れたわけではない。というかこれ以上壊れない。

    この本は、41歳にして脳梗塞をわずらい、若干の後遺症に悩むルポライタの実録である。私がここでこの本について紹介しようと思ったのは、この本に「むむ、これはやばい」と思った記載があったためである。その部分について引用させてもらう。
    とはいえ、僕にとってはこのウォーキングと、歩きの延長的なジョギングは「性格改善」と併行のリハビリだったように思う。何しろ病前は街中でジョギングなどをしても、人目があればあるほどペースが上がってしまうタイプ(誰も見てないのにカッコつけ)。歩きと大差ないペースで走る姿を人に見られるのは、かつて走れた経験があるだけに屈辱的だ(だから誰も見てないというのに!)。

     これはこのまま私に当てはまる。ジョギングをするとペースを上げなければ気が済まない。人目があればあるほどそうなる。歩くような速度でゆっくり走っているジョガーを見ると、「けしからん」と思う。それでいて、ペースをあげて走ると苦しいので結局あんまり走らない。これは私もとってもよく自覚していたところだ。

    この本によればそういう性格は実にまずいようである。というか、この本の著者が考えるに、こうした性格が脳梗塞の原因だったというのである。だから関係ないかも知れない。でも関係あるかも知れない。ということで、これからはこの点を自覚し、何事ももう少しゆっくりすることにしようと思う。

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    | 清水敏 | 図書 | 08:34 | comments(0) | trackbacks(0) |
    「丸山眞男の敗北」
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      丸山眞男といえば、私が最初の大学生だったころに文系の学生が競って読んでいた政治学者(ではなく政治史学者?)である。つられて私も「現代政治の思想と行動」を買ったが、結局その後30年の間、本棚のこやしと化していた。それもこの間売り払ってしまったが。
      この時代に丸山眞男論である。すでに私の人生からは消えていた丸山眞男だが、「丸山眞男の敗北」というタイトルにグッときて読むことになった。前半は丸山眞男の著作をその周辺まで読み込んでいい感じだったが、最後に来て著者の伊藤氏はだいぶ腰砕けになったようだ。折角の「敗北」のタイトルの味噌の部分がたよりない学生の論文のようになっていたのが残念。
      丸山眞男は逆風があるときには高く飛ぶが、風がなければ元気をなくす凧のような人だ、という点はその通りかもしれない。すでに敗戦後70年を過ぎ、風がない時期が長すぎて凧も空から消えてしまった現在、学生は丸山眞男等は全く読まないのではないか?
      そんなことを思いながら、1日で読み終えてしまった。
      | 清水敏 | 図書 | 18:23 | comments(1) | trackbacks(0) |
      現代ロシアの深層
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        評価:
        小田 健
        日本経済新聞出版社
        ¥ 6,300
        (2010-04-24)
        コメント:…まあとりあえずロシアへの出願はやめとこか、という人が多いのとちゃいまっか。そんな人にはこの本がお勧めだす、といいたいのはやまやまでっけど、残念ながらこの本は知財とはあまり関係があらしまへん…

        最近は、知財の世界でもいわゆるBricsが話題になってまんね。以前のように米国やらヨーロッパやらだけではのうて、Bricsでも知財を確保する必要があんのとちゃいまっか、という人がようけいてはります。中国への出願数がえらい勢いでびゃーっと伸びているのはどなたはんでも分かりまっしゃろ。しゃーけど、ロシアとなるとどないでっか?。なんかなぁ、ロシアっちゅう国の特許庁は審査をちゃんとしてくらはるんやろか、特許になったとして、あんじょう権利を守ることがでけんのやろか、お金もようけかかりよるし、ちゅう心配をしはって、まあとりあえずロシアへの出願はやめとこか、という人が多いのとちゃいまっか。
        そんな人にはこの本がお勧めだす、といいたいのはやまやまでっけど、残念ながらこの本は知財とはあまり関係があらしまへん。政治、経済からはじめて、現代のロシアの状況を、主に報道された事項をもとにして解説した本ですねん。知財のことなんか、今ちらっと思い出せるのはダブリュー・ティー・オーとかいうしろもんに関連して2ヶ所しか出てけーしまへん。これだけ厚く(540ページくらい。)、重い(ゆうに1キロを超えてまっせ。)本ですのに、たったの2ヶ所でっせ。まあしゃーないけど。
        書いたお方が日経国際編集委員というお方でっさかい、まあ資料とか、新聞記事とか、ウェブページとかについてはようけ引用してはります。そこを手がかりにずーっと研究したい人にはええかも知れまへんな。プーチン氏とメドベージェフ氏(今はどっちが大統領でどっちが首相でんねん?よう分かりまへんわ。)のお話から始まって、シロビキやらオリガルヒやら、普段は聞いたこともないけったいな言葉がようけ出てきまんねん。人の名前もけったいな名前ばっかりでよう覚えられまへん。同じ人の名前がときどき変わりよるし。(ところで、うちの娘の友だちが飼っている猫の名前が「プーチン」いいまんねん。病院で「プーチンちゃん」いうて呼ばなならんのが結構はずかしいんやて。そら、ロシアには連れていけまへんわなぁ。)
        せやけど、まあ、現代のロシアの経済状況のいわゆる背景のバックグラウンドというものが、なんとなく分かる気がしまんねん。これからロシアに手を伸ばそうというお方がいはったら、この本を読んで決して損はせんと思いまっせ。いや、ホントに。
        | 清水敏 | 図書 | 12:52 | comments(0) | trackbacks(0) |
        岩波新書「ことばと思考」:思考と、ことばによる外界情報のカテゴライズとについて再認識
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          評価:
          今井 むつみ
          岩波書店
          ¥ 840
          (2010-10-21)
          コメント:前半は示唆に富み、読み進めながらスリルを覚える。後半は主に実験結果に基づく議論で、意義はあるのだが、門外漢にはやや読みにくい。

          音声認識などの仕事をしていると、入力情報から特徴ベクトルを作り、予め準備されていたプロトタイプと比較して最も近いプロトタイプのカテゴリに入力を分類する、という処理がよく行なわれる。
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          | 清水敏 | 図書 | 19:01 | comments(1) | trackbacks(0) |
          だぶって本を買う
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            Vintage Tom Swift Books Detailphoto © 2006 L. E. MacDonald | more info (via: Wylio)

            最近は通信販売で本を買うことが多い。それも一度に15冊程度。するとどうなるか。書籍の注文と、書籍の到着との間にタイムラグが発生する。すると、既に注文しているにもかかわらず、手元にない本を再度注文してしまう、ということが発生し得る。



            さすがに既に読んだ本をだぶって買うことはあまりないが(時々はある。)、注文したがまだ読んでいない本は結構頻繁に重ねて注文してしまう。

            最近では

            (1)プロテウス・オペレーション(1200円)
            (2)脳の可塑性と記憶(960円)
            (3)反哲学入門
            (4)運は数学にまかせなさい

            であった。ほしい人には進呈しますけど…
            | 清水敏 | 図書 | 14:38 | comments(0) | trackbacks(0) |
            【雑誌】知財ぷりずむ Vol. 6 No. 70
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              この号では、山口大学教授 佐田洋一郎氏による「初めて知財を担当する人のための大学知財の基礎入門」が面白い。

              我々弁理士は、普段は企業の知財担当の方とお話をする機会が多いため、ともすると知財業界以外の方とのコミュニケーションがないか、あっても極端に少ないことが多い。そのため、世間では決して常識ではない事項であるにもかかわらず、誰でも知っている事項だと思い込んだりすることもある。佐田氏の論文(半分はエッセイのような感じもするが)は、この点を改めて気づかせてくれる。

              大学教授というのも我々弁理士と同じような人種と見えて、自分の専門については当然非常に詳しいが、特許のこととなるとあまりご存知ないことが多いらしい。佐田氏は、特許庁から山口大学に転進してそれを身にしみて経験されたようだ。それも、大学特有の問題というよりは、知財の世界を知らない人たちの考え方に再遭遇してとまどった、という経験をお持ちのようである。

              この佐田氏の論文では、大学で知財(主に特許だが)に関してどのような事態が生じているのか、制度を知らないために知財担当者がどのように苦労されているのか、について詳しく書かれている。大学ゆえ、という問題もあるし、大学に限らず、という問題もある。我々弁理士も大学とかかわる機会が多くなっている以上、それらについて準備しておかなければならない。その点で参考になる。

              それ以外に、この論文の後半では、審査官が引用文献に基づいてどのように進歩性を判断するか、その手法についても簡単ではあるが記載されている。電気の分野では構成を重視する審査官が多く、化学の世界では効果を重視する審査官が多い、ということなど、分野による違いについても再認識させられる。

              普段、仕事に埋没してしまい、世間と没交渉になりかかっている弁理士の皆さんにお奨めする。
              | 清水敏 | 図書 | 12:46 | comments(0) | trackbacks(0) |
              知的財産権のグローバル化―医薬品アクセスとTRIPS協定
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                知的財産権というよりは、副題が示す通り医薬品に関係する特許のグローバル化に関する本である。

                我々実務家の間では、誰に聞いても知的財産権万歳、強制実施権等とんでもない、という答えがくるように思う。特許を飯のタネにしている関係上、やむを得ないところがある。エイズ薬に関するタイの強制実施権の設定とか、ブラジルの反特許的姿勢とか、話題として知らなくはないが、現地でどの程度問題になっているかについては、正直言ってあまり考えたことがなかった。

                この本によれば、どうも医薬品に関しては、タイとかブラジルとかだけでなく、世界的に反特許の風潮らしい。製薬会社側でも、多額の経費と長い歳月をかけてようやく商品化した薬に対し、強制実施権を設定されてはたまったものではない、という理屈がある。一方で反特許側には、ここに多くの病人がいて、そこにはそれを救う薬があるのに、特許のために薬の値段が高くて手が出ず、みすみす死んでいくのを放っておくのは反人道的だという理屈がある。

                この本では、特にタイ、ブラジル、インドなど、知財の世界ではこれまであまり重要視されて来なかった国・地域での特許に対する反感と、それら国でのジェネリック薬品産業の現状、強制実施権の設定とジェネリック薬品産業の発達との関係等が、豊富な資料に基づいて解説されている。

                今まで強制実施権の設定の実績が最もあるのがカナダだということはこの本ではじめて知った。カナダでは、その結果、一時的にジェネリック産業が発達したということだが、結局は製薬産業に対する投資の減少を招き、産業としては衰退した、とのことだ(ただし私は元資料にはあたっていない。)。

                この本では、上記したように様々な資料をあげて製薬産業と各国の政策とを紹介している。しかし、著者が薬品特許に対してどのような考えを持っているかについてはあまり書かれていない。その点で、やや欲求不満が残る。

                ともあれ、注も充実しているので、こうした問題に興味のある人の研究の開始点として好適な本だということができる。
                | 清水敏 | 図書 | 08:37 | comments(1) | trackbacks(0) |
                確率的発想法~数学を日常に活かす
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                  書名からは何となくハウツー本のような感じを受けるが、そうではない。非常に読みやすい確率理論の紹介。特に前半部分が最近流行のベイズ統計学を理解する上で明解。

                  受験生時代に習った確率はもっぱら数え上げが主体だったが、仕事ではベイズ統計をフル活用しなければならない。そんな弁理士にも最新の確率理論の雰囲気が何となくわかり、勉強する気にさせてくれる。

                  後半に入ると分かりやすい解説というよりは、解説なしで経済学・社会学的応用の話になっていく。様々なモデルによって社会的な動きが確率論で説明できる、というのは分かるにしても、なんと言うか、量子力学の世界における超ヒモ理論のような感じで、現象を説明するためならどのようなモデルでも考えられるような気もしてきて、どうもすっきりとしない感じは受ける。ただしそれは確率論の欠点ではなく、経済学・社会学の持つ本質的に不明確な部分に起因するのだろう。

                  ともかく、受験時代の確率論ではなく、現在の確率論に触れたい人には一読の価値ありだと思う。

                  | 清水敏 | 図書 | 12:32 | comments(0) | trackbacks(0) |
                  東大で上野千鶴子にケンカを学ぶ (ちくま文庫)
                  0
                    この本は名前は知っていたものの、タレントが書いた本だというので、買ってまでして読もうという気にはならなかった本である。妻が娘のために勝ってきたので私も読んでみた。

                    正直いってびっくりした。そもそも上野先生の授業に迫力があるところに、それを描写する遥氏の筆力も中々すばらしい。ジェンダー論には全く興味はないけれど、勉強・研究については消えかけていた火が再び(少しだけ)燃え上がりました(形容矛盾か?)。

                    のんべんだらりと暮らしている学生、一般勤労青少年及び勤労中年に勧める。一読すべし。
                    | 清水敏 | 図書 | 12:18 | comments(0) | trackbacks(0) |
                    職業としての政治 (岩波文庫)
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                      マックス ヴェーバー
                      岩波書店
                      ¥ 483
                      (1980-03-17)
                      「悩む力」の中に出てきていた本である。はずかしながら、マックス・ヴェーバーの本はこれまで読んだことがなかった。「職業としての政治」と「職業としての学問」については、有名なこともあって機会を見て読むことにした。

                      ごく薄い本である。講演を口述筆記したものに推敲を加えてあるようで、古い本であるにもかかわらず、読みやすい。文章もそれほど難しくはない。

                      ただ、これまで何となく避けてきた政治学への見通しがうすらぼんやりとだがついたような気がして来た。職業としての政治は、社会制度と密接な関係があり、政治を志す者も社会制度による制約を受ける。国によって社会制度が異なるため、例えば米国とドイツとでは政治風土がこんなにも違う、という分析のあたりは、現在でもそのまま当てはまる。

                      現代世界に何となく問題を感じる向きには、一度読むことをお勧めする。一緒に悩みましょう。
                      | 清水敏 | 図書 | 19:02 | comments(0) | trackbacks(0) |
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                      中野 信子
                      この本を読みながら、最近のニュースに出てきたあの人、この人を思い出した。ところで、サイコパスとは関係ないのだが、この本によれば日本は全世界の面積の0.25%しか占めていないのに、災害被害総額では15〜20%を占めているそうだ。最近の噴火、地震、豪雨の連続を見ていると納得してしまうが、一応この数字はどこかでチェックしておく必要がある。
                      そこで調べて見た。一般財団法人国土技術研究センターによると、世界における日本の国土の占める割合は0.28%だそうだ。Wikipediaでは0.25%と記載されている。ここは国土技術研究センターを信用したい。一方、内閣府によると、日本の災害被害額が世界の災害被害額に占める割合は16%だそうだ。この数字はちょっと古いが、それでも大筋で15〜20%という値は正しそうだ。
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