USPTOは、Glossary Pilot Programを開始することを2014年3月27日付で
公表した。Glossary Pilot Programとは,ソフトウェア関連発明の出願において、クレームの文言の意味を、明細書中に一覧形式(Glossary)で定義するようにした出願を他と区別して取り扱い、審査におけるGlossaryの効果を確認しようとするもの。
このパイロットプログラムの主要な点は以下のとおり。
出願人が米国への特許出願時にフォームPTO/SB/436を提出し、出願時の明細書中にGlossary sectionを設け、その他必要な条件及び要件を満たした場合には、特許庁は、その出願の最初の局指令発行までは優先的に審査し、審査官による審査にGlossary Sectionがどの程度役に立ったかを評価する。このプログラムは2014年6月2日から6ヶ月間の予定で行われ、その期間が満了した場合、又は200件の有効な請求があった場合のいずれか早い方で終了する。ただしさらに半年パイロットプログラムを予定することもあり得るが、途中で終了する可能性もある。
このパイロットプログラムに参加するための条件及び要件が列挙されているが、主なものは以下のとおり。
出願が満たすべき条件:
(1)対象となる出願は、オリジナルで、再発行出願でも、仮出願でも、デザイン特許でもない特許出願で、先に米国に出願した出願の出願日の利益を要求するものでもない(つまり分割又は継続出願ではない)ことを要する。ただし、仮出願による出願日の利益は享受できる。いわゆるCIP出願の場合、このパイロットプログラムに参加することを目的として先の出願の優先日の利益を主張するものは参加できる。
(2)出願時には、明細書は英語で記載されていなければならず、要件を満たしたGlossary Sectionを含むものでなければならない。
(3)出願時には、優先権及び先の出願に基づく利益については全てインフォメーション・シートに記載されていなければならない。外国出願に基づく優先権を主張する場合には、優先権の全てについて、それらのコピーを出願と同時に提出しなければならない。外国への出願が英語でない場合には、それらの英語の翻訳文であってその翻訳文が正確なものである旨の言明が付されたものを出願と同時に提出しなければならない。
(4)出願時に、1以上のクレームを含み、独立クレームは4つ以下、合計クレーム数が30個以下でなければならない。複数項従属のクレームがあってはならない。
(5)出願はソフトウェア関連のものでなければならない。
参加の要件:
(1)Glossaryは、出願時明細書の発明の詳細な説明部分の冒頭に見出しとともに配置する。
(2)Glossaryは、明細書の他の部分、又は他の文献を参照するものであってはならない。
(3)Glossaryでの用語の定義は、用語の意味を積極的に定義するものでなければならない。「〜ではない」というような形のみからなっていてはならず、Open-endedであってはならない。
(4)Glossaryで定義した用語の意味は、明細書の他の部分で否定したり、意味を拡張しようとする文言を付したりしてはならない。
(5)Glossaryでの用語の定義には、例をもちいたり、同義語を用いたり、除外表現を用いたりしてもよいが、例、同義語、及び除外のみからなっていてはならない。
(6)Glossaryで定義する用語には、特許法第112条第fパラグラフの機能的限定を含むべき。この場合には、明細書中で、その機能を実現する構造を特定することが望ましい。
このようなGlossary での用語の定義は、以後の審査におけるその用語の解釈をその定義に制限する。しかも出願がこのPilot Programに参加できなかった場合でも審査においてGlossaryでの定義が影響することに留意すべきである。
とりあえず、外国の出願人としては、このPilot Program に参加しようとすると労多くして益少ない、という結果になりそうだ。