清水敏の弁理士日記

知的財産関係のニュースと、実務的心覚えとをつづる。実務的情報については、できるだけ元情報の所在を記載する。
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国内書面提出期間経過後に提出した国内書面の却下処分取消しを求める訴えが認められなかった事例
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    知財判例サイト



    平成29(行ウ)363  手続却下処分取消請求事件
     行政訴訟 平成30年5月24日
     東京地方裁判所



    国内書面提出期間経過後に提出した国内書面の却下処分、その後の審査請求と手続補正の却下処分の取り消しを出願人が求めた事件で、いずれも棄却された。

    出願人(スイスに本店を持つ外国法人)の特許部門の担当者が、国際出願の日本への国内移行にあたり、日本の特許事務所の代表アドレスではなく、弁理士の個人のメールアドレスに国内移行の依頼メールを発信したため、弁理士個人も特許事務所従業員もこの国内移行の依頼に気づかず、国内書面提出期間を徒過したケースである。
    出願人は、特許法184条の4第3項及び法184条の5第2項の規定が内国民待遇の原則に違反し却下処分は違法であり、また国内書面提出期間内に明細書等翻訳文を提出しなかったことについて、特許法184条の4第4項所定の「正当な理由」があるとして脚下処分の取り消しを求めた。

    裁判所は、特許法184条の5第2項は、国際特許出願について、国内書面を国内書面提出期間内に提出しないときに補正を命じることができる旨を定めているのであ って、ここに国籍又は言語による取扱いの差異は存在しないし、また、国際特許出願のうち外国語特許出願については、内国民であっても外国語特許出願を行えば、当然に明細書等翻訳文の提出が必要となるのであり、他方、外国国民であっても日本語で国際特許出願を行えば、明細書等翻訳文の提出は不要であ り、特許法184条の4第3項において国籍による取扱いの差異はなく、したがって、特許法184条の4第3項及び184条の5第2項の規定が内国民待遇の原則に違反するとはいえない、とした。

    また裁判所は、特許法184条の4第4項の「正当な理由」 があるときとは、特段の事情のない限り、国際特許出願を行う出願人(代理人 を含む。)として、相当な注意を尽くしていたにもかかわらず。客観的にみて国 内書面提出期間内に明細書等翻訳文を提出することができなかったときをいうと解するのが相当である、として、本件のようにメールアドレスの打ち間違いによるメールの誤送信については、国内書面提出しなかった場合に生ずる重大な結果に鑑みると相当な注意を尽くしていたとは言えないとして原告の訴えを認めなかった。なお、本件の場合、メールアドレスは誤っていたがそのアドレス自体は存在していたため、メール不達の連絡もなく、誤送信を知ることはできなかったが、確実に受領確認をすべきであったとされた。

    教訓として、出願人と代理人とを問わず、メールを発信するときにはメールの送信先アドレスについてはくれぐれも確認する必要があるということである。また、メールの重要性にもよるが、少なくとも権利の消滅の可能性がある場合には相手からの受領確認を確実に確かめることが必要である。さらに、代理人としては事務所の代表アドレスだけではなく、事務所の自分のメールアドレス及び自分が使用しているそれ以外のメールアドレスについても仕事に関するメールが入ってくる可能性があるため、常に注意しておかなければならない。電子メールは基本的に個人対個人のやりとりなのでこのへんが難しい。

    弊所の場合には、電子メールの送信時には、必ず第三者によるチェックがないと送信できない仕組みを導入している(過去におそろしい経験をしているので導入した)。また、メール送信時にはかならず返信先として事務所の代表アドレスを設定する仕組みを導入した。しかしそれでもときどき私の個人アドレスに対してのみ入ってくる仕事のメールがあるので油断はできない。

    ところで、これに関連して、メールチェックの負担というのは以前から随分問題になっているが、何か負担軽減のためのよい方法はないだろうか?私は仕事の関係で常にどの仕事をしているかについてタイマーで記録をとっているが、メールチェックに要する時間は案外少ない。もちろん累積するとかなりになるのだが、一度のメールチェックの時間はそれほどでもない。ただ、なんとなく心理的な負担が大きいような気がする。
    | 清水敏 | 知財実務 | 08:28 | comments(0) | trackbacks(0) |









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