清水敏の弁理士日記

知的財産関係のニュースと、実務的心覚えとをつづる。実務的情報については、できるだけ元情報の所在を記載する。
<< 新かがわ中小企業応援ファンド等事業 平成30年度後期事業 | main | "patently"をどう訳す >>
101条、101条、101条
0
    Alice以降、純粋ソフトウェアで実現される特許を米国で取得するのは極端に難しくなっている。何らかの機器を制御するものである場合にはそれほどの問題ではないが、データを他の形式のデータに変換するだけのソフトウェアの場合には101条の拒絶は避けられない。私の場合、扱う案件のほぼ100%が純粋ソフトウェア発明なのでこれは重大な問題だ。

    101条の拒絶については米国の代理人に色々聞くのだが、かれらも明確な指針を持っているわけではなく、そもそも審査官も審査をどのように進めるか分かっていないようだ。「101条の拒絶はない」と局指令中で断言していた審査官が、2度めの拒絶理由の後の面接で「(101条以外の)拒絶理由は解消したが、USPTOのガイドラインの解釈が誤っていると他の審査官から言われたので、あらためて101条の拒絶理由を出す」などという発言をする程である。日本の弁理士が101条の拒絶に対して適切な対応を取ることは大変に難しいという実感がある。

    事情はヨーロッパでも似たり寄ったりである。米国で101条の問題になるところが、ヨーロッパでは保護対象の問題ではなく進歩性の問題になるところが違う程度で、実体的な拒絶の理由はほぼ同じと考えることができる。

    最近もこの点について米国代理人との間でディスカッションしたが、米国代理人によれば、米国でもヨーロッパと同じで、明細書作成の段階で「技術的特徴」を強調し、いわゆるproblem-solution アプローチのような対応をする必要がある、ということだ。発明が解決する課題をできるだけ技術的問題として意識させるための表現を用いることがこのためには必要である。技術的特徴とは何か、という点がさらに問題にはなるのだが、どうも米国最高裁(そしてCAFC)の最近の考え方は、何らかの形でものづくりに貢献する発明でないと保護対象にはしない、ということのようで、これに沿った形で明細書を作成する必要がある。

    今までは日本の実務に即して、ソフトウェアで実現する発明はコンピュータ・ハードウェアとプログラム構造と言う形で開示してきたが、最初に日本でソフトウェア特許が出始めて来たときと同様、ハードウェア的な表現を試みることが必要かも知れない。とはいうものの、最近のソフトウェアは細部まで非常に複雑で、特にAI関係については実施可能要件を満たしながらハードウェア的表現を行なうことは不可能だ。そこで、基本的にはコンピュータ・ハードウェアとプログラム構造という大筋は変えないが、その課題に関する表現と、作用・効果に関する表現とを従来のハードウェア的な構成と同様の表現にすることが有効ではないかと最近では考えている。具体的には個別の案件によって変わってくるのでここではいうことは難しいが、少し光明が見えてきた気がする。

    なお、以前は米国出願では作用効果等についてはできるだけ明細書には記載しない方がよい、とされてきたが、米国代理人によれば最近ではそうしたものは記載した方がよい、という意見の方が強いらしい。権利範囲が狭く解釈される危険性があるかもしれないが、そもそも全く権利化できな場合と比較したらはるかにましである、ということらしい。

    なお、実際に101条の拒絶を受けた際にどのように反論するかという点で、AIPPIジャーナル日本語版の平成30年5月号に掲載された、山本俊介氏(特許庁)による論説「米国特許適格性をめぐる CAFC判事間の意見の相違と、 Aliceテストの在り方の検討 -Smart Systems Innovation, LLC. v. Chicago Transit Authority事件」が非常に参考になった。




    CAFC



    PGS GEOPHYSICAL AS v. IANCU [OPINION] 6-6-2018




    EPO



    Outstanding inventors from France, Germany, Ireland, Netherlands, Switzerland and the US honoured with European Inventor Award 2018

    Global Anti-Counterfeiting Group Awards EPO President Battistelli for ‘Services to IP Protection’

    | 清水敏 | 知財実務 | 08:24 | comments(0) | trackbacks(0) |









    http://sspo.jugem.jp/trackback/1449
      12345
    6789101112
    13141516171819
    20212223242526
    2728293031  
    << January 2019 >>
    + 研修のお知らせ
    (大阪中心)知財イベントカレンダーをご覧下さい。(別ウィンドウが開きます。)
    + 補助金カレンダ(別ウィンドウが開きます)
    補助金を網羅しているわけではありません。この情報については随時更新していますが、既に募集が終わっている場合も考えられます。自治体では予算を使い切ったら終了、というところもあります。この情報によって何らかの損害が生じても弊所は責任を負いかねます。必ず各自で情報の確認をお願いします。 愛知県 大阪府 兵庫県 京都府 香川県 静岡県 和歌山県 奈良県
    + RECOMMEND
    + RECOMMEND
    + RECOMMEND
    サイコパス (文春新書)
    サイコパス (文春新書) (JUGEMレビュー »)
    中野 信子
    この本を読みながら、最近のニュースに出てきたあの人、この人を思い出した。ところで、サイコパスとは関係ないのだが、この本によれば日本は全世界の面積の0.25%しか占めていないのに、災害被害総額では15〜20%を占めているそうだ。最近の噴火、地震、豪雨の連続を見ていると納得してしまうが、一応この数字はどこかでチェックしておく必要がある。
    そこで調べて見た。一般財団法人国土技術研究センターによると、世界における日本の国土の占める割合は0.28%だそうだ。Wikipediaでは0.25%と記載されている。ここは国土技術研究センターを信用したい。一方、内閣府によると、日本の災害被害額が世界の災害被害額に占める割合は16%だそうだ。この数字はちょっと古いが、それでも大筋で15〜20%という値は正しそうだ。
    + RECOMMEND
    + RECOMMEND
    + RECOMMEND
    + RECOMMEND
    + RECOMMEND
    + RECOMMEND
    + SELECTED ENTRIES
    + RECENT COMMENTS
    + RECENT TRACKBACK
    + CATEGORIES
    + ARCHIVES
    + 本の紹介
    + MOBILE
    qrcode
    + LINKS
    + PROFILE