2008.11.26 Wednesday
請求項数を増加させる補正に関しその違法性を指摘することなく補正を却下した審決が取消された例
平成19(行ケ)10335 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成20年10月30日 知的財産高等裁判所
審査官との面接において、請求項数を増加させる補正を提示してその見解を求めた際、審査官がそうした補正の違法性を指摘せず、かえって補正が認められるかのような見解を示した案件において、審判段階ではそうした補正(増項補正)の違法性のみによって、審判請求人に反論の機会も与えることなく補正を却下した審決が取消された例。増項補正の違法性について事前に審判請求人に伝えたり、拒絶理由通知を発行したりすれば、あえてそうした補正はしなかったかもしれないし、補正を撤回することも考えられ、そうした機会を与えずに、かつそれ以外の補正についての判断もせずに審判請求を棄却した審決は違法である、とする。
注目すべきは、傍論ではあるが、以下のような見解を示している点である。
これは、最高裁判所による、訂正に関する先の判決の影響を受けたものかもしれない。
審査官との面接において、請求項数を増加させる補正を提示してその見解を求めた際、審査官がそうした補正の違法性を指摘せず、かえって補正が認められるかのような見解を示した案件において、審判段階ではそうした補正(増項補正)の違法性のみによって、審判請求人に反論の機会も与えることなく補正を却下した審決が取消された例。増項補正の違法性について事前に審判請求人に伝えたり、拒絶理由通知を発行したりすれば、あえてそうした補正はしなかったかもしれないし、補正を撤回することも考えられ、そうした機会を与えずに、かつそれ以外の補正についての判断もせずに審判請求を棄却した審決は違法である、とする。
注目すべきは、傍論ではあるが、以下のような見解を示している点である。
被告が主張する増項補正が許される例外的な場合(上記(2)イ①②の場合)は, 増項補正が許される典型的な場合を例示したにすぎず,法解釈上は,それに限られ るわけではない。原告がした本件の増項補正は,補正前の特定の請求項にいわゆる 従属項を追加したものというのであるから,少なくとも従前の特許請求の範囲を全 体として拡張するものではないということができ,特許請求の範囲の減縮には文言上該当しないとしても,法解釈論として成り立ち得ない見解といえず,明らかに違法な補正であると断じ得るものでもなく,本件のような従属項を追加する補正が一般的に違法であるとする裁判例がないではないが,少なくとも,実務上,周知確立していた取扱いであるとは認められない。
これは、最高裁判所による、訂正に関する先の判決の影響を受けたものかもしれない。