弁理士には5年間で70単位の研修が課されるようになった。通常の研修形式ではとてもこれだけの単位を満たすのは難しいので、日本弁理士会はe-ラーニングを立ち上げ、いつでも、どこでも研修が行なえるようなシステムを大金を投じて構築した。
このシステムについては、今までのところあまり芳しい評判を聞いていない。特に高年齢層の弁理士にはほとんど利用されていないという。
私も以前に一度このe-ラーニングを利用してみて、少し使いにくいと思った記憶がある。その理由は以下のとおり。
1)1単位あたりの時間が長く感じられる。
通常の集合研修と比較すると、e-ラーニングの場合には単位取得のために必要な時間が長く感じられる。実際に長いかどうか、ではなくて、「感じられる」のが問題である。
2)e-ラーニングをしていると「遊んでいる」又は「ぼーっとしている」と思われる。
e-ラーニングを始めると、パソコンの画面に集中せざるを得ない。口も開いているかもしれない。端からみれば遊んでいるように思われるだろう。したがって、事務所の就業中にe-ラーニングを行なうと事務所の職員から白い目で見られること必定である。
3)効果確認テストがある。
あるまとまりの講義が終わると効果確認テストがあり、80%以上正解しないと次に進めない。まあ、効果を挙げるためには妥当なシステムだが、これが結構心理的な障害になる。「何度でもチャレンジできます」というメッセージが出てくると、何となくその心理的障害が増幅されるような気がする。幸い、いままでの効果確認テストでは全て合格したけれど。
4)Windows版Internet Explorerでしか利用できない。
ところが、最近、またこのe-ラーニングを利用し始めて、このシステムを見直している。最もよいと思った点は、細切れで視聴ができる、という点である。朝、事務所に出て来て10分,昼休み、弁当を食べながら15分、夜、帰宅直前に15分、などというスケジュールで毎日e-ラーニングをしていると、2日程度で1.5単位の講義が終わる。半端な時間を有効に使うことが出来てなかなかよい。
ところで、日本弁理士会の
弁理士ナビでは、弁理士について検索することができるが、検索された弁理士について、さらに「継続研修の受講歴」というのを見ることができる。ここで、特定の弁理士がどの程度、継続研修の単位をとっているか、どのような研修をとっているかが分かる。弁理士の勉強の程度と、興味の方向とが簡単に分かる、考えてみるとおそろしいシステムである。
ところで、現在のところ、私はiMac上のVMWare上で動かしているWindows XPの上で、Internet Explore 7でこのe-ラーニングを視聴している。なかなか快適である。