評価:
Steven D. Stark
Three Rivers Press
¥ 1,136
(1999-12-28)
コメント:米国弁護士用に書かれた文章読本。英語と日本語、法律一般と知財という相違はあるが、日本の弁理士が見ても参考になるティップスが局面ごとにいくつかの「ルール」という形で分かりやすくまとめられている。
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Writing to Win: The Legal Writer
最初に見て笑ったのは、現在の法律文書の特徴について、皮肉な命令形で10個記載していたもののうちの6番目(Introductionのページ xii)
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6. Do not be embarrased about repeating yourself. Do not be embarrassed about repeating yourself.
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この部分は別の本(Rbert D. White, Trials and Tribulations: Appealing Legal Humor)からの引用らしいが、特許関係の書類を見ているとこの文章の可笑しさがよく分かる。こうしてくっつけて繰り返すとおかしいことはすぐわかるが、離れていると必ずしもおかしいと感じないのが不思議だ。
Wrting to Win: The Legal Writer という本に記載されていたルールのうち、弁理士にとっても有効と思われるものを上げておく。詳細については本を読んで下さい。
挙げられている局面はキチンと分けられているのだけれど、ここでは、表現に関するものとか、文章の組み立て方とかをごちゃまぜに挙げる。
- 強い言葉を使え。受け身はできるだけ使わず、能動形で。
- 「legal jargon」は使うな。古めかしい表現も削除。
- できるだけ明確かつ簡潔に書け。
- 繰り返しは避けろ。
- 抽象的な表現ではなく、具体的で眼に浮かぶような書き方をせよ
- 法律的な結論と事実の論述とは区別せよ。
- 形容詞は大体の場合、事実ではない
- 事実は何らかの目的のもとに書け
- 最も強力な事実は、事実に関する記載中に一度だけ書け
- 意見の記載中で新たな事実を導入するな
- 訴訟はディベートではないのだから、自己の意見の中心を相手に対する返答の形にしてはならない。
- CRAC法(Conclusion, Rule, Analysis, Casesの順序での記載)を使え
- 判例を引用するときは的確にせよ。
- 記載中に「on or about」とか「approximately」のように、自分の知識が曖昧であることを示唆するような記載を避けよ。
- 文、段落は短くせよ